第120問(2007年10月14日:羽生二冠-中川七段戦) |
(問120-1) 先手羽生二冠の初手▲2六歩に後手の中川七段が△8四歩としたため相がかりとなり、腰掛け銀へと進んだ。その後、羽生二冠は馬を作って自陣に引きつけたが、あまり働かず形勢は後手に傾いた。 さらに急所の△6六歩が入り、後手がはっきり勝ちになったと思われたこの局面、今△7五銀と上部を押さえた手に対し、どのように受けるべきか。悪いながらも明快な決め手を与えない指し方とは? (答えはこの下に) |
(難易度・・・) |
(問120-2) 手筋の角捨てから銀が出てきたこの局面。次に△6七角成からの3手詰があり、”筋に入った”形で先手が逆転するのは容易ではないが、とりあえずはこの一手スキを受けるしかない。羽生二冠が指したこれしかない受けとは? |
(難易度・・・) |
(これより下に解答)
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(問120-1解答)「敵の打ちたいところへ打て」 この局面、△6六歩を打たせない為に、ここに打つのが手筋だが、▲6六歩と打つのでは、本当にその手を受けたというだけで相手に何の脅威も与えていない。こういう場合は、強く銀を打ち、7五の銀取りにして相手の攻めをせかす。 但し、銀打ちは本譜のように、△7七歩成▲同玉△6八角の攻めも呼び込むので実際に打つときには、(▲6六歩と)どちらが逆転の味があるかを考えることになる。 |
(問120-2解答)「玉の早逃げ八手の得」 △6七角成からの3手詰を防ぐには、たとえば歩が打てれば▲7六歩が一番良いが、歩が打てず、他に安い駒がなく、角を7六へ打つのでは、△6七銀打からその角を取られてしまう。また▲7八金など6七の地点へ駒を足すのはやはり△6七銀打があって受けになっていない。 ここでは羽生二冠の指した▲5九玉の早逃げがこの一手でいわゆるキャンセル待ちだ。 実戦はこの後、△8一飛と金を取りに行ったのだが、▲7七桂とさらに受けの勝負手から龍取りに▲9八角を放ち、最後はまれに見る劇的な逆転勝ちを収めた。 |
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