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NHK杯に見る受けの手筋
(2008年2月25日出題)

第138問(2008年2月24日:鈴木八段-郷田九段戦)
(問138-1)
先手鈴木八段の石田流に対し、舟囲いから金を上がって押さえ込みに行った郷田九段。歩得を果たし、一旦は後手成功かと思わせたが、先手も巧みなさばきで駒損ながらも飛車先を破り勝負形に持って行った。
そして今、▲8一飛成と成り込んだ所。この局面は次に▲3三香と打ち込めば桂では取れない為(▲2一角がある)、かなり危ない。こういうところではどのような形で受けるべきか。郷田九段の指した一手は?



(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問138-2)
終盤、力のこもった応酬が続き、形勢不明の局面が続いていたが、上図9一のと金が後手の金に替わり先手が逆転した。そしてここは先手優勢ではあるが、△1七桂成からの殺到もあり、油断していると再逆転もありうるところ。ここで、鈴木八段の指した受けの攻防手は?


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問138-1解答)「外飛車を内飛車の底歩で止める」
ここでは△7一歩と受けるのが手筋。お互いの玉に対して遠くにある8一の龍は外飛車となり、より近くにある7五の飛車は内飛車となる。こういう飛車の位置関係の場合、内飛車の方が相手の飛車の利きを止める権利を有する。
実戦も△7一歩と打ち、▲3三香からの脅威をこの一歩で止めることが出来た。但し、実戦はこの後、▲7六歩△同飛▲8五角と打ち、△7九飛成▲4九角△同龍▲7一龍と後手の飛車の位置を変え、7一の歩を取ることに成功、難解な終盤戦が続いた。



(問138-2解答)「手駒を残して欲しい駒を取りに行く」
このままでもすぐに先手玉が詰む訳ではないが、攻めて駒を渡すと△1七桂成からかなり危ない。と言って、駒を使って受けるのでは、攻めに迫力がなくなる。
また相手玉を攻めるには桂が欲しいところ(3三に捨てて▲4五桂や単に▲4五桂の筋がある)。と言うわけで、▲1六銀と桂を催促に行った手が好手で決め手となった。

本譜はこの後、△1七桂成から△4四角と攻防に打ったが、▲5一馬と強手で寄せに入り、最後の後手の攻めも余して後手玉を寄せ切った。


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