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NHK杯に見る受けの手筋
(2008年9月1日出題)

第162問(2008年8月31日:三浦八段-飯島五段戦)
(問162-1)
先手三浦八段、後手飯島五段で戦型は一手損角換わりの腰掛け銀となった。
そして、後手が△6四角と据えたのに対し、先手が▲6六歩から動いて戦いが始まった。途中、後手の飛車取りを放置して角を成り込んだ手が強手だったが、やややり過ぎの感もあり反撃され、今▲2三歩と急所に手筋の歩を打たれたところ。
終盤、このような局面は良く出現するが、その時々で読みを入れて対応するしかない。ここではどのような手が最善か。飯島五段の指した一手は?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問162-2)
先手玉は詰まないとの判断の下に▲3二馬と後手玉に必死をかけた三浦八段。その判断は間違ってはいなかったが、駒を精算され、今△6六桂と王手をされたところ。ここではどちらへ逃げれば詰まないか?時間のない時は、経験、感覚も必要だが、時間があれば正確に読み切りたいもの。


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問162-1解答)「この局面は△1二玉」
2三に歩を叩かれた時、回りの状況によって、△同金、△同玉、△3三玉、△3一玉、△1二玉など様々な応手があり、どれも可能性のある手だ。それらを局面に応じて、つまり相手の攻め方を考えて最善の場所へ逃げることになる。
この局面では、△同玉は▲2一飛成とされるし、△同金は▲4一馬と入られる手が非常に厳しい。そこで△1二玉と逃げて▲4一馬には一手スキで相手玉に迫ろうという考えが正しい。但し、先手の攻めも▲4一馬以外に▲4一飛成や▲1五歩などあるので必然ではない。
本譜は一手スキが切れると読んで、▲4一馬と入り、後手が一手スキを続けられるかどうかに焦点が移った。



(問162-2解答)「例外的な逃げ方」
△6六桂の王手に対し、上部へ脱出する▲7七玉か▲6七玉かを読むのが普通だ(下段は多くの場合詰むので)。その際、7七は△7八飛と打たれて金銀持たれたまま追い出される可能性が高く、▲6七玉は△7八銀と打てば、金一枚の形で追い出されると読む。したがって、もっとも詰まないと考えられる地点は6七。
そう読んで三浦八段も▲6七玉と上がったが、なんとこの地点は長手数ながら即詰みだった。△6六桂の王手に対し詰まないのは、7七と8九。7七はその後の変化も複雑だが、8九が詰まないと言うことにはビックリするしかない。△7九飛も、△7八銀▲9八玉△8八金の手筋もギリギリ抜けている。終盤はいかに早く正確に読むか、それが大切だ。

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