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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年5月10日出題)

第248問(2010年5月9日瀬川四段-広瀬五段戦)
(問248-1)
先手瀬川四段、後手広瀬五段で戦型は後手のゴキゲン中飛車。その進行は、28手まで3月に行われた同じNHK杯の丸山-羽生戦とまったく同じで飛銀交換となった。その局面の形勢判断は難しいが、その後も難解な中盤から終盤戦へ突入。下図は今△4五桂と3三の桂を跳ねたところ。ここで先手瀬川四段の指した一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問248-2)
終盤、玉の固さを頼りに▲5二香成と捨て△同金に▲7一銀と王手をして金を取りに▲4一龍と動いたところ。金取りだが単純に△5一金と受けても▲同龍△同角に▲8二金で詰んでしまう。このような寄せは実戦でも出現することがあり、アマチュアの場合これで決まることも良くある。ただし、プロの場合はこれも読み筋で以下も熱戦が続いた。ここで簡単に負けない受けの一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問248-1解答)「固いが攻めが遠くなる自陣の歩」
ここで瀬川四段は手堅く▲5八歩と受けの歩を打った。この手は△5七桂打▲7九金△5八歩▲同金△6九銀などの攻めを受けた訳だが、反面5二や5三へ打つ歩が打てなくなり、攻めはかなり遠くなることを覚悟しなくてはならない。
初心者なら文句のない歩の受け。但し有段者になったら攻めのことも考慮し、本当に受けの歩が必要かどうか考えて打たなければならない。

(問248-2解答)「終盤の受けは丁寧な読みの上で」
△5一香など5二金にヒモを付けるのは▲5二龍と取られて△同香に▲8二金まで。△6一金は▲5二龍なら△7一金だが、今度は▲6一龍とこちらの金を取られてしまう。また△5三金と逃げるような手は部分的にはある手だが、▲6二銀成と成られたり、▲2一龍と角を追われても攻めがつながってしまいそうだ。
そこで広瀬五段の指した一手は△6二銀。この局面では唯一の凌ぎ筋で▲5二龍なら△7一銀と銀を払い一息つける。実戦は、▲6二同銀成△同金に再度▲7一銀とかけて、執拗に食い付きを図り長い終盤戦が続いた。

本譜は、その先手の攻めを凌ぎきると、先手玉に一気に襲いかかり、最後は長手数の即詰みに討ち取って終局を迎えた。
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