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NHK杯に見る受けの手筋

(2010年12月20日出題)

第280問(2010年12月19日 渡辺竜王-島九段戦)
(問280-1)
先手渡辺竜王、後手島九段で、序盤は後手の矢倉中飛車風の駒組みだったが、結局しっかり囲い合う相矢倉へと進んだ。
今回、終盤は難解な攻め合いとなった為、問題にしたのは序盤から中盤。今、先手が▲4五桂と跳ねた所で、このような手に対する次の一手を問う。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問280-2)
先手と後手、同じような形から今△6四銀と銀を出たところ。攻めるなら▲3五歩だが、7筋が切れている為、一手早く後手から攻められそうだ。そこで、先手の渡辺竜王はしばらく受けに回ることにしたが、ここでの受けの一手とは?
(難易度・・・



(これより下に解答)

(問280-1解答)「桂先の銀、定跡なり」
序盤での銀桂交換はやはり損なので、銀は逃げる一手。△2二銀と△4四銀の両方あるが、△4四銀と桂先に上がるのが普通の受け。△2二銀と引いて、△4四歩を見せるのも局面によっては生じるが、△4四歩から△4五歩と桂を取りきる間に攻めきられてしまってはまずい。プロの場合は、(△4四歩が成立するようなら▲4五桂とは跳ばない為)まず△4四歩が成立することはないのだが、アマ級位者の場合は、まだ他の駒(4七の銀や角)が攻める態勢になっていないこともあるので、△2二銀と引いて桂を取りきれるかどうかを考えることは無駄ではない。


(問280-2解答)「切らされた筋の歩の突き出し」
ここで▲7四歩とじっと歩を突き出すのが、一つの受けの形。△6四の銀が動いた瞬間、▲7三歩成と成ることが出来るので、これで後手からの攻めを牽制しているし、何もしなければ▲7三歩成△同銀▲6五銀と桂を取る手も見ているため、攻めを催促しているとも言える。
突き捨ててからの攻めは、早すぎるとこのように逆用される恐れがあり、遅すぎると取ってもらえない可能性があって難しい。

本譜は、終盤、ものすごい攻め合いになった。その結果、双方の玉にどの局面が詰めろ、どの局面が詰みという難解な「詰むや詰まざるや」の局面が出現したが、最後は先手の渡辺竜王が、華麗な即詰みを見せ、後手を投了に追い込んだ。

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