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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年1月17日出題)

第283問(2011年1月16日 佐藤(康)九段-久保二冠戦)
(問283-1)
先手佐藤康光九段、後手久保二冠で戦型は後手のゴキゲン中飛車。先手が▲3七銀から▲4六銀と早めに銀を進出した手に対し、比較的早く△5六歩とさばきに出た為に、序盤から激しい戦いに入った。しかしその後、双方が馬を引きつけじっくりした駒組みになったが、揺さぶりをかけた先手が2筋を破り、下図は(先手が)一本取った局面となった。ここで、後手久保二冠の指した一手は?どちからもすぐに攻める手がある訳ではないので、それ故このような場面での指し方は難しい。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問283-2)
先手が局面をリードした後も、緩めることなく8筋から強襲。今、7三の地点で銀交換が行われ、▲7三同桂成と駒を取ったところ。当然、この駒は取るよりないが、4つの駒のうちどれで取るのが正しいのか?後手久保二冠の指した一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問283-1解答)「玉を固めてチャンスを待つ」
玉の囲いは、本来なら戦いが始まる前に固めて置くのが普通だが、5二の金は元々は3二にいて飛車の進入を防ぐ役割を果たしていたもの。しかし、この局面はすでに飛車に成り込まれていて、5二にいても狙われるだけの駒となっている。
そこで△6二金左と陣形を引き締めておくのが損のない一手。実際は、先手の弱点が見えづらく、これでも不利ではあるが、攻められると駒が入り、チャンスが出てくる。その為にも、少しでも固めておいて、チャンスを待ちたいところだ。


(問283-2解答)「例外的な取り方」
7三の駒は、本来なら6二の金で取ったり馬で取ったりする方が固く、良い場合が多い。しかし、どちらで取っても▲6五桂が見えており、7三の駒を逃げると▲7三歩がまた金取りの先手になってしまう。そこでこの▲7三歩を先手にしないようにと取ったのが△7三金直で、ある意味例外的な取り方だ。

本譜は、この後も先手の猛攻が続き、後手もずっと辛抱して受けていたが、攻めが回ってくることはなく、寄せ切られてしまった。

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