将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2011年1月24日出題)

第284問(2011年1月23日 深浦九段-藤井九段戦)
(問284-1)
先手深浦九段の居飛車に、後手の藤井九段は本家の藤井システム。中盤、細かい折衝の後、先手は左美濃から玉頭位取りへ。後手が中央から動こうとした瞬間に戦いに入った。下図は終盤。先手優勢の局面から猛追し、もうどちらが勝っているのか分からない状態にまで追い上げている。今、▲6一馬と入った所で、部分的には▲7一角や▲8三歩が厳しい。そこで実戦はその▲8三歩を防ぐ為、一旦△8九龍と王手して歩の合駒を強要したが、局後この手はなかったと藤井九段が悔やんでいた。ここでは、その王手をせずに次の一手を指したい。その一手とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問284-2)
上図△8九龍の疑問手はあったものの下図△5二香も好手で、この瞬間は先手の受けが難しそうにも見える。しかし、ここで指された先手深浦九段の絶妙な受けの一手とは?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問284-1解答)「敵の打ちたい所へ打て:桂は控えて打て」
△8三桂が二つの格言を同時に現す絶好の攻防手。▲8三歩からの筋を防ぐと同時に次に△7五桂を見ている。△8九龍▲8八歩の交換を入れておかなければ、龍を△3五龍と引く手もあり、勝負はどうなっていたか分からない所だった。


(問284-2解答)「香を近づけさせる桂の中合い」
ここで放った▲5五桂が巧妙な合駒だった。△5二香自体は打ち歩詰になるため、詰めろではないが、駒を渡せないし、必死なら簡単にかかる。そこで△同香と近づけさせておけばこの香を取りながら玉を逃走させられるとの読み。

実戦は、▲5五桂に△5四銀。この手は先手玉の逃走を阻止し、幸便に見えたが、その瞬間に▲7二馬から殺到。後手玉を一気に即詰みに討ち取って勝負を決めた。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ