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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年7月11日出題)

第307問(2011年7月10日 豊川七段-小林(裕)六段戦)
(問307-1)
先手豊川七段、後手小林六段で戦型は相居飛車で矢倉模様だったが、序盤から注文を付け手将棋となっている。中盤、後手が6筋の位を取り、先手が穴熊に組み替えると、今度は先手から6筋奪還を目指して動いた。今▲5五金に△8四歩とお互い角を取り合ったところ。ここで先手豊川七段の指した一手は?タダで5五の金を取られてはいけないし、何も代償なしに飛車に成られてもいけない、となると必然の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問307-2)
最終盤、後手勝ちの局面。今、最後の王手をかけた所で、答えを言ってしまえば取っても逃げても詰まないので後手の勝ち。ただ、このような局面ではどちらがより安全かという問題。詰まないことを読み切るのは容易ではないので、ある程度の読みと安全な方を選べる感覚の問題でもある。

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問307-1解答)「飛車の成り込みを先手で防ぐ」
5五の金取りと飛車の成り込みがあるので、ここでは飛車を連打する一手。▲6三歩△同飛▲6四歩と叩き、まず飛車の成り込みを防いでからどうするか、ということを考える。
実戦は、連打の後、▲5一角と飛車取りに打ったが、この手に構わず△5五銀と金を取って▲6二角成に△3四角と攻めに転じたのがうまい手順で優勢を拡大することに成功した。

(問307-2解答)「その駒は必要かを考える」
ここは王手なので取るか逃げるかしかないし、どちらでも詰まないので勝ちそうに見える。こうしたところで、考えるべき事は取ったその駒が必要かどうかということ。ここでは、すでに飛車と桂を持っていれば、先手玉に受けはない。つまり新たに二枚目の飛車は必要ではないということ。
そうしたことを踏まえた上で、まず△4一玉と取るのは、▲4二金△同金引(寄)に▲5二金と打っていく手や、▲5一馬あるいは▲5二馬から▲4二金と迫ってくる手を読まなければならない。一方、△2二玉と逃げると、詰めるための王手は▲3一角のみ。△同金▲同飛成▲同玉に▲3二金△同玉▲4三とと追う手順を読むが、残り金三枚では△同玉と取っても逃げても駒が足りないのは明白(と読めるかどうかはもちろん棋力の問題も絡む)。

本譜は▲4一飛に△2二玉と進んだ所で、先手が投了。その後、感想戦で「取っても詰まない」という話がちょっと出たが、「でも逃げるでしょう」というニュアンスの話で締めくくられた。実際、取っても詰まないのだが、逃げる方がより安全という感覚が正しいのだと思う。
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