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NHK杯に見る受けの手筋

(2011年12月19日出題)

第329問(2011年12月18日 丸山九段-木村八段戦)
(問329-1)
先手丸山九段、後手木村八段で横歩取りの出だしだったが、丸山九段が▲2六飛と引き、それに対し△8五飛と一つ引いた為、あまり見たことのない2筋に歩のないひねり飛車となった。中盤、後手の仕掛けが機敏で、下図は駒の損得はないものの7筋を制圧しているのが大きく、後手十分。7三で桂交換が行われた所だが、ここで先手の丸山九段が指した次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問329-2)
終盤、玉頭を戦場にして先手も猛追したが、僅かに足りないと思われるところ。今6八にいて角取りになっていた角を▲2四角と飛び出した局面だが、後手玉はまだ詰まなそうにも見える。ここで指された後手木村八段の次の一手は?

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問329-1解答)「大きな戦いの前に離れ駒をなくす」
ここで丸山九段の指した一手は▲3八金。7筋で駒がぶつかっているので、本来ならもっと忙しい手を指したいところだが、結局のところ▲4九金のような離れ駒があると必ずこれがマイナスになり勝てない。
もちろん、本来は戦いに入る前に、もしくは戦いに入りそうな時には離れ駒を作らない方が良いが、今回は後手の仕掛けが機敏だった。このような時は、戦いの最中でも一手をかけて自陣を整備すると言うのは、無駄にならないことが多いので覚えておきたい。

(問329-2解答)「玉頭を制する攻防手」
▲2四角は詰めろではないので、△8九龍と飛車を取っても勝ちそうだ。しかし、先手玉を攻める場合は、△8九龍から△2九飛という攻めではなく(もちろんそのような攻めもあるのだが)、龍を二段目において、△3七銀の放り込みから△4五桂と打つ攻めの方が本筋と言える。
そこでそうした攻めを見た時に、実戦の一手である△2三金がまさに攻防の一着となっている。▲4二角成や3三からの精算など、場合によると玉頭を厚くし、▲2六玉となった局面を寄らなくするような手段もあるからで、その時にこそ△2三金と金を一枚入れておいた効果が出ることになる。

事実上、この一手で先手に手はなく、この後、▲7九飛に△3七銀を見て投了となった。
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