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NHK杯に見る受けの手筋

(2012年4月30日出題)

第346問(2012年4月29日 小林(裕)七段-中村(太)六段戦)
(問346-1)
先手小林七段、後手中村六段で戦型は横歩取り△8五飛戦法。先手の小林七段が趣向を凝らし難しい中盤戦へ。そして戦いが始まり、先手は先に香得したが、今△4四角と反撃に角を打ち下ろされたところ。飛香両取りだが、もちろんこの段階で普通に飛車を取られてはいけない。しかしここで指された先手小林七段の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問346-2)
中盤から一気に終盤になだれ込もうとしている局面。今▲7三歩成をみて▲7四歩と突きだしたところ。ここで指された後手中村六段の次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問346-1解答)「両取り逃げるべからず」
この格言通りという局面ではない(いずれ飛車は逃げなければならない)が、この両取りの瞬間に放った▲2三歩が「駒は取られる直前が最も働いている」という格言そのもので際どい利かし。実戦は、△2三同銀と取り、さらに▲2四歩△1二銀と利かせた。この交換をしてから▲7六飛と逃げたので、単に逃げるよりはずいぶん後手の陣形が弱体化している。

(問346-2解答)「歩には歩で受ける」
▲7四歩に対し、実戦でもそう指したように△7二歩と受けるのは、最も基本の受け。ただ、ここに歩を打つと△7七歩と打てない為、攻めにはマイナスだ。そこで、感想戦ではこの歩を受けずに△8九馬から△7七歩と攻める順も検討された。確かにこれで攻め切れれば良いが、▲7三歩成から▲6二とも猛烈に厳しく、攻めに相当の見通しがないと踏み込めない。△7二歩は、級位者なら当然の一手として、有段者なら少し攻めを考えた上での一手として打つ感じの手。

本譜の後手の攻めはやや細かったが、固い陣形を頼りに豪快に馬を切ると、巧みに手をつなぎ最後はきれいな必死をかけた。
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