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NHK杯に見る受けの手筋

(2014年10月13日出題)

第470問(2014年10月12日 藤井九段-佐藤康光九段戦)
(問470-1)
先手藤井九段、後手佐藤康光九段で戦型は角交換振り飛車(最初の一戦も角交換振り飛車で千日手。これは指し直し局)。この指し直し局も中盤、動きの難しい局面は続いたが、先手が誘いのスキを見せるとそこに堂々と切り込んで局面は動いていった。そして下図、後手は△9九馬に△8八ととこの地点を破っている。しかし先手はここを軽く受け流して右半分で勝負しようとしている。今、▲4五桂と跳ねたところだが、ここで後手佐藤康光九段の指した一手は?この局面では自然な一着。

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問470-2)
振り飛車にうまくさばかれ、また▲5五角を見られており後手の忙しい局面。そして今、急所に△2五桂と打ったところ。受ける前に▲5五角のような手を決めるかどうかは難しいところだが、藤井九段は単に3七の地点を受けた。その受け方とは?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問470-1解答)「桂先の銀、定跡なり」
桂で玉の側の銀取りにされる手に対し・・・局面によっては手抜く手もないわけではないが、最も普通なのは桂先に逃げておく手。ここでも△4四銀が普通で、たとえば歩があり8、9筋が渋滞してなければ△4五同銀▲同歩に△4六歩から△5四桂のような反撃筋もある。但しこの局面は(△4四銀以外の所へ逃げると▲4四角を打たれてしまうので)△4四銀と逃げるしかないところ。

本譜はこの後、▲5五銀から先手がリードする展開になったが、後手も強襲をかけ難解な終盤戦へ突入した。

(問470-2解答)「桂先の銀、定跡なり part2」
第1問の▲4五桂に対しては、(局面によって)いろいろな手が考えられる。しかし、この第2問のような局面はほぼ▲2六銀の一手と言っても良い。本譜もそうなるが、△3七銀から精算された局面は、成桂で(桂一枚で)玉を▲3七へつり出された格好ではあるが、それでもその一枚は大きく、それで寄せがあるかどうかの勝負になる。なお、3七を受けるだけなら、盤上の駒でも利きは足せるが、盤上の駒が消えると薄くなるので、寄りやすくなると覚えておきたい。

本譜は、後手の猛追にどちらの玉も「詰むや詰まざるや」の局面にまで際どくなった。しかし最後は、(逃げ方を誤ったということも加わり)藤井九段が華麗な手順で後手玉を詰ませることに成功した。

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