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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年6月8日出題)

第502問(2015年6月7日 飯塚七段-伊藤真吾五段戦)
(問502-1)
先手飯塚七段、後手伊藤真吾五段で戦型は角交換振り飛車。途中、どちらからも手の出しにくい形になり千日手かと思われたが、先手の飯塚七段が端から手を付け打開した。
下図はその直後。▲9五歩△同歩▲同銀△同香▲同香といわゆる棒銀の形で9筋から攻め込んだところ。ここで後手の伊藤五段はどのように端を受けたか?こういう局面では、初心者でも有段者でもほぼ二択。問題は後々のことまで考えて手を選べるかどうかということ。どちらが正解、と言うより、この後の進行を想定して欲しい。


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問502-2)
7〜9筋で激しい攻防が繰り広げられている。今、△8七にいた角を△9六角成と成り返ったところ。次に△7七銀成▲同金に△8五桂が厳しい。そこで先手はどのように受けたら良いか?本譜の進行は最も普通の進行ではあるが、それも後手玉への攻めを考慮した受けになっている。先手飯塚七段の指した次の三手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問502-1解答)「持ち歩と相手からの攻め筋を考える」
ここで9筋を受けなければならないのは当然だが、△9四歩▲同香△9三歩と受けるか、単に△9三歩と受けるかは持ち歩の数によることが多い。歩がたくさんあれば△9四歩▲同香△9三歩と受けた方が良いのだが、問題図では二歩しかないので、そのように受けてしまうと、▲9三同香成△同玉▲9九飛と回られた時、△9四に打つ歩がなくなってしまう。もちろん△8二玉▲9一角△7一玉▲9二飛成まで読み進めて、それでも凌げると思えばそのように進めることも一案。そして、それとの比較で、単に△9三歩と打つことも考える。但しその場合は、本譜もそうだが、当然▲9三香成とは行かず、▲9九飛と力をためられることになり、それに対する応手を用意しておかねばいけないという訳だ。

本譜は、その▲9九飛に△8六銀が、△8七角と△9五銀▲同飛△9四香を見た反撃手。ここから7〜9筋の激しい攻防が繰り広げられた。

(問502-2解答)「駒の温存より手を稼ぐ受け方」
終盤では常に攻め方と受け方に相関関係がある。もし銀を寄せに使いたければ温存して受けたいし、その必要がないなら手放してもしっかり受けておきたい。そこで相手玉への迫り方を考えると、▲8三歩の垂れ歩が厳しいことに気づく。その為、飯塚七段は▲8六銀△同馬に▲7七銀としっかり受けて、手を稼ぐ手段に出た。馬が逃げた後、△8五桂と打たれても、まだ先手玉は大丈夫。その一手を▲8三歩に使い、一手勝ちを目指したという訳だ。

本譜はその一手勝ちの読みが正確だった。後手から見ると、どうしても手が足りず、逆転の手段を含みに先手玉に迫ったが、最後は必死をかけられ先手の飯塚七段が勝ちに一歩早く到達した。
なお、本譜投了二手前、飛車を動かし即詰みで終局したが、もし要の角を外したとしても即詰みは免れない。その局面から実戦の詰みを作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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