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NHK杯に見る受けの手筋

(2015年8月10日出題)

第511問(2015年8月9日 羽生名人-北浜八段戦)
(問511-1)
先手羽生名人、後手北浜八段で戦型は後手のゴキゲン中飛車。先手の超速に対し、後手も銀を△4四銀に繰り出し対抗。その後、双方穴熊に組み相穴熊戦となった。戦いは、先手が3筋から動き、その動きに乗じて後手も駒をさばき全面的な戦いへ。その後、後手の細い攻めに先手が受けるという展開が続いた。下図は、金にかける△6九銀から△7八金に▲6九金△同金と進んだところ。「4枚の攻めは切れない」と言うがここでの後手の攻め駒は3枚。しかし後手玉がまだ鉄壁なだけに食い付かれると3枚でも振りほどけなくなってしまう。ここで指された先手羽生名人の次の三手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問511-2)
上図からも後手の攻め、先手の受けは続いているが、攻防に利かした▲5一飛と幸便に▲3五角も逃げだし、少しずつ先手の余せそうな雰囲気は出てきていた。今、△7八銀打の詰めろに対し、▲7七金とちょっと怖いが(△8九銀成から開き王手が見えるので)、この攻めで寄せられないなら、先手が勝ちそうにも見えるところ。しかしここで後手の北浜八段に好手が出た。受けということが分かっていればやさしい一手ではあるが、攻めにばかり目が行っていると見逃しやすい一着。後手北浜八段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問511-1解答)「受けは先手で(相手の駒に当てる)」
△7八金と張り付かれてはいけないので、まずは▲7八銀と打つ一手。△6八金にどうするかだが、羽生名人の指した▲7七銀直がこういう場合の受けの形。とにかく受けは先手で受けたい。先手というのは、相手の駒に当てることで、相手が何もしなければその駒を取ってしまいはっきりするということ。

本譜の後手はこれでも△7八金打と張り付く一手。△7八金と寄るのは▲6七銀で困ってしまう。実戦は△7八金打に▲6八銀△同金▲3五角と攻防に放って先手好調に見えたが、後手も△7八角と銀取りに打ち返し、容易に離されないで先手玉に食い付いていく将棋が続いた。


(問511-2解答)「大駒の働きを一歩で止める」
ここで△5三歩と打ったのがなかなかの一着だった。▲5六飛成を消すと同時に▲6二角成も消し、この一着で、先手からの攻めは▲7一飛成一本に絞られ、飛車を渡す攻めしかなくなり、自玉との兼ね合いを見ながらの難しい攻防が続くことになった。

本譜はこの後、穴熊特有の金銀の打ち換えによる千日手模様の局面が生じた。後手からは打開する手段がなく、先手が選べば千日手にすることも出来たが羽生名人はこれを打開。感想戦がなかった為はっきりとは分からないが、おそらく打開自体は正しかったと思われる。しかし最終盤、名人らしからぬポカ?で詰めろにならない手を指してしまい、先手玉に必死をかけられ、後手北浜八段の勝利で終わった。
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