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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年8月1日出題)

第559問(2016年7月31日 島本五段-豊島七段戦)
(問559-1)
先手島本五段、後手豊島七段で戦型は相矢倉戦。相矢倉では昔から良く指された▲4六銀△4五歩▲3七銀に、すぐ反発し▲4六歩△同歩▲同角で戦いになった。角交換後、双方馬を作り、後手は先手の飛車を攻め、先手は5筋にと金を作って後手玉に迫った。そして下図はその終盤戦。△8六歩の突き捨てに手抜いて▲4三とと、金を取った為、△8七歩成を利かされてから△4三金とと金を払われている。後手からは次に△4九飛がある。この銀桂取り以上に早い攻めがなければ、この筋を一旦は受けなければいけない。先手島本五段の指した次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問559-2)
難解な終盤戦が続いている。下図は△7三桂と桂の活用を図った手に、▲4一飛とこの位置に飛車を打ち下ろしたところ。次に▲4二飛成からの詰めろで、先手玉が詰まない以上受けるしかないところだが、その受け方が悩ましい。ここで指された後手豊島七段の次の一手は?この飛車に対し、どのように受けたら良いのか?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問559-1解答)「一枚投入して陣形整備」
本来なら持ち駒を使いたくはないので、▲7八玉とか引くのが第一感だが、8筋に歩の利く状況ではもたないと判断したのだろう。島本五段は▲7八銀と一枚自陣に投入して△4九飛の両取りを受けた。一枚入れるのならこの位置が左美濃の形になり固い。しかし、いつでも△8六歩と叩ける状況では陣形そのものは固いとは言えず、後手を引いてやや苦しいかと思われた。

しかし△1九馬に▲8六歩がまた渋い受け。△8五歩▲同歩に△8六歩は当然の筋だが、それも▲同玉と取り、決め手を与えない受けから反撃し、難解な終盤戦が続いた。

(問559-2解答)「大駒を切っても金を入手する」
金があれば、△3一金でも△5一金でも簡単に受かる。しかし問題図では持ち駒に金がないので、△3一銀打とか△3二玉とかが目に映るところ。ただそれでは▲5二成銀と来られると受けになっていない。
そこで、△6八角成と無理矢理金を入手したのが本譜。指されてみれば確かにこれしかない当然の一着だが、実戦だと見逃しやすい。
本譜は、▲6八同金に△8五桂▲8八玉△8七歩▲同玉まで利かしてから、△5一金と打った。この△5一金も受けとしては強い手だ。△3一金なら無難だが、飛車に逃げられた後、やはり▲5二成銀からの攻めを見られ、それより早く先手玉を攻略する必要がある。一方、△5一金なら飛車は捕獲しているが、この瞬間、実戦の▲5一同飛成〜▲4一金の他、▲3一角や▲3三から打ち込まれる手など、一通り攻めを読み、凌ぎ切れることを確認しなければならない。

実戦は際どい勝負が続いた。短い感想戦でははっきりとはしなかったが、△7九銀の攻めに一旦受けていたらまだ難しかったかもしれないという話で終わった。本譜、最後は作ったようなピッタリした詰みが生じ、後手豊島七段の勝利となった。

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