第562問(2016年8月21日 石井四段-谷川九段戦) |
(問562-1) 先手石井四段、後手谷川九段で戦型は相振り飛車(先手向かい飛車対後手三間飛車)。玉の囲いは、先手の美濃に対し後手は穴熊に組み戦況をうかがった。戦いは、先手が端に桂を跳ね▲8五桂からの攻めを見せたのに対し、後手は角交換を挑んでその攻めを緩和しようとしたが、それでも角を打ち、▲8五桂と跳ねて端を強襲するところから始まった。下図はその終盤。後手は桂得でも後手玉の周辺だけで戦いが起こってしまいやや苦しい。今、▲7七にいた角を▲6六角と上がったところ。次に▲8四歩と打たれてはダメなので何か受けなければならない。ひと目△6五銀は見えるが、▲同銀なら△2六飛で良いが、かまわず▲8四歩と打たれると寄せ切られそうにも見える。そこでここで指された後手谷川九段の指した一手は何か?こうしたところに良く出てくる受けの手筋とは? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問562-2) 上図から数手後、下図は両方の飛車が当たっていてさらに王手にもなっているという局面。これは、先手からの狙いである▲8三桂を見て、▲3三角成の大技を放ち、平凡な△同飛なら▲8三桂で決まるところを、△3六桂から△7三角と王手で受けにも利かしてから△3三飛と取り返そうとしている状況。ここで先手はどのように受けるのが良いか。▲8三桂からの攻めも考えつつこの王手に対する受けを考える。先手石井四段の指した一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問562-1解答)「大駒は近づけて受けよ」 △6五銀も考えられない手ではない。△6五銀▲8四歩△6六銀▲8三歩成△同銀で、この方が先手の攻めが難しいと思えばこれもあり得るが、実戦は△7五歩の「大駒は近づけて受けよ」の方が難しいと見て谷川九段はこれを選択した。 対して先手は▲8五飛と出て、△7四金に▲3三角成の大技を放って局面を決めに行った。平凡な応手ではすぐに後手玉が寄ってしまうため、△3六桂と捨てて、▲同歩に△7三角と利かしてきたのが第2問だ。 |
(問562-2解答)「攻防の犠打」 王手を受けるだけならいろいろあり、どの手を指しても受けられる。しかし、受けた後、△3三飛▲8三桂△同銀▲同飛成に△8四金の進行が考えられ、その時にどうするかと言うことが問題。▲6四桂とこの地点に桂を打っておけば、▲7二に利いている為、攻めに大きく利いている。△6四同歩と取られるとタダだが、お互いの飛車が当たっているこのような忙しい局面では桂の価値は小さく、実際取っている暇がないことが多いのでこうした犠打は有効だ。 本譜は、この桂が最後まで良く利いた。△3三飛▲8三桂△同銀▲同飛成△8四金に▲9三歩成と攻め込み、△同桂▲同香成に△8三金と飛車は取られたが、▲8三同成香がほとんど受けのない二手スキ。後手は、最後、とん死筋を狙いつつ先手玉に迫ったが、絶対詰まない形で安全に詰めろをかけ、先手の石井四段が勝利した。 |
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