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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年8月15日出題)

第561問(2016年8月14日 斎藤慎太郎六段-森内九段戦)
(問561-1)
先手斎藤六段、後手森内九段で戦型は角換わり腰掛け銀。但し後手が工夫を見せ、△4二玉から△5二玉と中住まいで手を待つと、先手も腰掛けた銀を引き、手将棋模様の将棋となった。そして、再度の△5四銀に、先手は▲5八飛から▲5五歩と中央の位を取って模様を張る。下図はその後に▲5六銀と出たところ。まだ中盤の難所で、絶対に指さなければいけない一手がある訳ではないが、ここで後手の森内九段はどのような手を指したか?先手からの狙いを未然に防ぐ後手の二手とは?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問561-2)
後手が仕掛け、それに対し先手が反撃するという形で戦いに入った。下図は今△3九角と金取りに角を打ったところ。単純な金取りだが、金を動かすと△7五角成が手厚く、かといって持ち駒に金銀がない為、簡単に受かる形でもない。ここで指された先手斎藤六段の次の一手は?そしてその手の意味を実現させる為の三手目は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問561-1解答)「先手からの攻め筋を消す」
ここで森内九段の指した手は△8二飛。対して先手は▲5九飛と待ち、△6三金と上がった。これは、▲4五歩△同歩▲同銀からの▲5四歩を防ぐと同時に一歩を持たれて▲7五歩△同歩▲7四歩を消した手だ。もちろん、単に△6三金では▲7二角一発で将棋は終わってしまう。

ここからさらに先手は▲4八金〜▲2九飛とじっくり戦闘態勢を整えたため、後手が先に動いた。8筋6筋7筋と突き捨て△5四歩。これに▲6九飛と反発して5〜8筋で激しい戦いになった。

(問561-2解答)「攻めを遅らせる手筋」
▲4八の金取りは単純だが(金銀を持っていない為)受けづらい。▲5八金は自然だが、△7五角成と成り返られるとこれが手厚く先手が勝てない将棋。そこで▲5九銀と引いて受けたのが実戦。これは△5七歩成に▲3八金を用意したのかと思ったが、解説でも言っていたように、それでは△6七とから後手に寄せきられてしまう。▲5九銀の狙いは、△5七歩成にここで手抜いて▲1五歩と攻め合うこと。△同歩なら香頭を叩いて▲2六桂と教科書に出てくるような手筋の攻めがあるので、後手の森内九段は△4八とから△5九とで勝負に行った。

本譜は△5九とと銀を取られた直後の▲7三とが好手。▲6一龍を動かさないことで、△6六角成を消し、先手玉が絶対に詰まない状態にして▲1三角から一気に後手玉に迫り必死をかけ、先手斎藤六段の勝利となった。なお感想戦では、図より△5七歩成▲1五歩に△4八とではなく、△2八角成とし、▲1四歩に△1九馬ならまだ難解な将棋が続いていたということだった。

なお終盤、端に良く出てくる実戦の詰みの形が現れた為、持ち駒を詰むように変えて出題したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。

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