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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年8月29日出題)

第563問(2016年8月28日 船江五段-千田五段戦)
(問563-1)
先手船江五段、後手千田五段で戦型は後手急戦矢倉。戦いは、後手の金銀が低い状態のまま△6五歩▲同歩△8六歩▲同歩に△6五桂と単桂が跳ねて始まった。対して、先手は2筋の歩を切り、さらに▲2四歩△同歩▲2三歩△同金▲2四角の筋で反撃、これを薄氷の受けで凌いだため下図の後手陣はすごい形になっている。そして今、△7六歩とここの歩を取り込んだところ。先手が攻めるなら▲1五歩でこれも厳しいが、△7七歩成▲同桂に△6六角から△8六飛も厳しい。そこで一旦は先手は受けに手を戻した。ここで指された先手船江五段の指した一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問563-2)
上図からどちらが勝っているか分からないような激しい攻防が繰り広げられた。下図は△6七銀と押さえに打った銀を先手が取ったところで、手の流れを見ると、ここで△8八飛成と踏み込めないとおかしい感じはする。しかし、それは▲3三桂成から難解ながらも後手玉は詰み。そこで実戦はこの局面で受けに手を戻した。”受け”ということに限定すれば指し手は難しくはない。後手千田五段の指した一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問563-1解答)「角道を止める一歩」
△7七歩成から△6六角切りがあるなら、当然▲5五歩と角道を止めるのは自然だ。これにもし△6三銀引と銀が逃げてくれれば▲1五歩で先手必勝。なので後手も△7七歩成から攻め込んで来ることは、(▲5五歩と止める以上先手も)覚悟しなければならない。

本譜は、△7七歩成▲同桂に△7六歩と打ち、以下▲6五桂△同歩と銀が当たったまま激しい攻防が繰り広げられた。
その後、先手は▲5六桂と角取りに桂を据えたが、後手も△6六歩と先手で銀を取り、依然難解な終盤戦が続いた。さらに後手は先手の▲6七の金を動かすと、△6七銀とこの空いた急所に駒を置いた。これに強く▲6八歩とせかし、▲6七歩とその銀を取って第2問に続く。


(問563-2解答)「詰めろを消す一歩」
ここで△8八飛成は、▲3三桂成と捨て、△同金に▲4一銀又は角を打って長くとも詰み(▲3三桂成りに△同桂や△同角は▲2三角と打って早い)。そこで△2四歩とこの筋を受けたのが本譜。流れ的には銀一枚余分に取られた感があり、▲8七歩とこの飛車成りを防がれては後手が失敗したようにも見える。しかし△8五飛と一つ引いて、▲6五の金取りを見せた手が厳しかった。感想戦でも両者ともに後手良しの感触を持っており、先手が足りていないように話されていた。

本譜は、この後▲5三銀と打ち込んで行ったが、詰めろが続かなくなり、逆に後手の△6五飛から△6九銀〜△6七飛成の攻めで、先手玉が一手一手となり後手の千田五段の勝利となった。

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