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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年9月5日出題)

第564問(2016年9月4日 糸谷八段-渡辺竜王戦)
(問564-1)
先手糸谷八段、後手渡辺竜王で戦型は相居飛車。後手の渡辺竜王が、飛車先を突いておきながら角道も止めた為、手将棋模様の相居飛車戦となった。先手の糸谷八段は中央の位を取り、4筋、3筋と歩を切り手持ちにすると、後手も動いて意外なところから戦いが始まった。さらに、局後、渡辺竜王が見落としていたと話していた先手の飛車回りからの攻撃に対し、際どい受けを披露しているのが下図。この局面だけを見ると、飛車が横から回ってきたようにも見えるが、実際は▲6四にいた飛車を△6三銀に▲6八飛と引いたところ。図で△6三の銀を取ると、△3六角が王手飛車になるという仕掛け。ただ、このまま後手が手を抜くと、▲6三飛成や▲6四歩ではなく、▲7四歩と打たれてしびれる。そこでどうするか?△6四歩は▲7四歩△同銀▲6四飛△6三銀▲6八飛で千日手。この少し前、先手が小ミスをして(後手は)歩を二歩もらっているので千日手にはしたくないと言う状況にある。ここで指された後手渡辺竜王の次の一手は?最後は難しいが指し手を五手まで。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問564-2)
上図から数手後、▲3五歩△4五銀に▲4七銀と引き、▲4六歩の銀取りを狙いにして先手が動いた。これに△7六歩から強襲、角を切り飛車を成り込んで後手が一気に攻め込んだ。下図は、今△7七歩と味の良い手筋の垂らしを行ったところ。次に△7八歩成から△6八とと銀を取られてはあっという間に寄ってしまう。ここで指された先手糸谷八段の次の一手は何か?悪いと思える局面でも、相手が少しでも間違えると逆転するような手を指す事は大切なこと。ここでは後手の攻めが難しいと思えるどのような受け方があるか?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問564-1解答)「先手を取って玉の安定を図る」
ここで渡辺竜王は、△6六歩と打ち、▲同飛に△6五歩▲6八飛に△2二玉と囲いに入った。△6四歩なら▲7四歩からの千日手だが、この数手前に先手が▲3四歩から二歩与えてしまった為に、△6六歩から△6五歩という手段が生じた。そして最後の△2二玉が何とも味わい深い一着。これで玉が安定し、△7六歩からの攻めに没頭できる。

本譜は、▲3五歩△4五銀に▲4七銀と引いて、▲4六歩を見たが、この瞬間先手陣に猛攻をかけた。そして角を切り、飛車を成って迎えたのが第2問だ。


(問564-2解答)「かわして軽く受ける」
△7八歩成を受けるということなら▲6七角が真っ先に思いつくが、平凡に△7八金と打たれると、受けになっていない。そこで指されたのが▲5七銀。玉から離れる異筋の受けだが、7八には飛車を利かしている。これで、△7八金なら▲5八玉と逃げて、攻めが重い。また、後手の攻めが遅くなると、▲2四歩△同歩に▲2三歩と叩ければ少しは勝負形になる。

実際、後手からどのように攻めるのだろう?と思ったが、△7八歩成▲同飛に△同龍と平凡に交換したのが好手順だった。角を切って成り込んで作った龍なだけに、生飛車と交換するのは盲点になりやすい。
確かに正確に攻められるとすでに上図は悪いので先手は勝てない。しかし▲5七銀のような手は、(▲2四歩や▲4六歩を見せ)後手を焦らせる一手とも言える。
本譜は、△7八同龍▲同玉に△7七飛から△6五桂の軽手で一気に先手玉に必死をかけることに成功、後手渡辺竜王の勝利となった。

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