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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年3月27日出題)

第591問(2017年3月20日 佐藤康光九段-佐藤和俊六段戦)
(問591-1)
先手佐藤康光九段、後手佐藤和俊六段で戦形は居飛車対三間飛車。ただ、序盤早々先手が利かしを入れようとした手に対し、後手が突っ張った為急に戦いが始まった。
その局面が第一問。先手は▲7七角から▲6八角とし、△2二飛を強要しようとした。ところが、後手の佐藤六段はこれに△6二玉で対抗。そこで▲2四歩と突っかけた訳だ。△2四同歩▲同角と進んだのが下図。ここでは当然の一着がある。後手佐藤六段の指した次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問591-2)
序盤から大乱戦になったが、双方共に簡単には終わらせなかった。下図はまだ48手目だがすでに終盤の真っ最中。▲4三角成と成って両桂取りをかけた手に△2八飛と王手をされている。△7六の桂を取ってしまえばおしまいなので、後手としては▲7六馬とされる前に王手をかけて応手を聞いた。この王手にどう受けるか?先手佐藤康光九段の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問591-1解答)「振り飛車の常套手段」
▲2四歩△同歩▲同角と来られた時、△同角▲同飛と交換するのは多くの場合振り飛車不利。そこで▲2四同角の時、△2二飛と回るのが振り飛車の常套手段であり手筋だ。ただ、この筋が成立する時としない時があるので、常に十分注意する必要がある。たとえば、玉が△5一にいると▲3三角成が王手になり振り飛車必敗。逆に△4三の銀が△5四などに上がっていればすぐに取られない為、居飛車失敗。その場合は、▲3三角成でなく▲2五歩と打つことになる。
この局面は、そうした様々な要素が絡み合ってほぼ互角の局面。プロの将棋ではあまり見ないが、双方が「難しい」と思ったからこそ生じた局面と言える。

実際この後、大乱戦になるも難解な終盤戦が長く続いた。

(問591-2解答)「持ち駒を温存する玉のかわし」
持ち駒に安い駒があったり、歩が利くなら▲5八歩と打っておいた方が安全だ。しかし、▲5八銀などと節約しようとすると△6九龍と切られてあっという間に終わってしまう。このような場合は、玉が露出し危険でも▲7七玉とかわすのが手筋。持ち駒がないので、△8八飛成と来られても大丈夫。特に先手は桂が入れば▲5四桂があり一番欲しい駒を取りに行ったという意味もある。

本譜は後手も龍を引き、お互いが自陣を強化する駒組みへ戻った。駒割りもほとんど互角で難しい終盤戦が続いたが、少しずつ先手の攻めが早く、最後は後手玉に必死をかけ、後手からの王手を逃げ切り先手の佐藤康光九段が勝利、第66回NHK杯に優勝した。

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