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NHK杯に見る受けの手筋

(2017年9月18日出題)

第616問(2017年9月17日 豊島八段-木村九段戦)
(問616-1)
先手豊島八段、後手木村九段で戦型は角換わり腰掛け銀。同型で、僅かな形の違いから仕掛けを狙う難しい中盤戦から、先手が▲4五歩と仕掛けて戦いが始まった。下図は、▲4六歩と一旦桂を支えた手に△5四角と攻防の自陣角を据えたところ。次に△7五歩▲同歩△7六歩が見えている。ただそうなったからと言ってどの程度の損なのか。代わりにもっと厳しい攻めがあれば受けなくても良いし、ここはいろいろ考えられるところ。先手豊島八段の指した次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問616-2)
▲4五の桂を△4五銀と食いちぎり△8六桂と打って攻めて来た。これは矢倉崩しの常用手筋として良く見る局面。このような桂を打たれた場合、一般的には四通りの応手がある。▲8六同歩と桂を取るか、▲7九金と逃げるか、▲7八の地点に金駒を足すか、手抜くかだ。局面ごとに正解が変わってくるので丁寧に読みを入れなければならない。先手豊島八段の指した手は何か?三手まで。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問616-1解答)「敵陣から利かす攻防の角」
△7六歩を受けるだけなら▲6七銀と一枚入れれば固い。しかし銀を使ってしまうと攻めに迫力がなくなる。そこで、豊島八段は▲4一角と打って攻めは▲2三、▲3二に利かしながら、遠く▲7四▲8五に利かして攻防の角を放った。△5二銀と打てばすぐに角が死にそうだが、この局面ならではの手、▲1一銀があり成立しない。そこで▲7五歩から後手の攻める展開になり、第2問へと続いていく。


(問616-2解答)「角の利きで大駒を止める」
▲7九金と逃げてもすぐに先手陣がつぶれる訳ではない。しかし△4五角や△9五歩など次々と攻めを繰り出された時でも結局△8六の桂が取れず、玉の身動きが出来ないのは辛い。そこで、▲8六同歩と取り、△同歩に▲8五歩と角の利きを使って飛車先を止めたのが実戦。飛車先を止めても△7七歩成と成れば8七の地点には角も利いてきてかなり危険だ。それでも桂を取ればお返しの▲2四桂があり、攻め合いで行けると読んでの▲8六同歩だった。

本譜は、△9三桂に▲2四桂△同歩▲2三銀と放り込んで強襲、一手一手に詰むや詰まざるやの難解な終盤戦が繰り広げられた。しかし最後は後手が銀一枚多く渡した(渡さざるを得なかった)為、後手玉に即詰みが生じ、先手豊島八段の勝利となった。

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