第629問(2017年12月17日 中村修九段-三浦九段戦) |
(問629-1) 先手中村九段、後手三浦九段で戦型は相居飛車。先手が雁木模様で後手が矢倉囲いだったが、にらみ合ったまま駒組みが進み、先手は穴熊へ、後手はミレニアムに組み上げ機会を待った。その戦端は後手から。△9五歩が機敏で、特に下図△9八歩が強烈。対局中の表情から見落としていた雰囲気もあったが、この王手にどう応じても手は続く。しかしこのような所で、簡単に諦めては勝てない。ここで指された被害を最小限にするための手順は?先手の指した次の五手を問う。 (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問629-2) 後手がポイントを上げたもののそこからが大変だった。先週に続き、先手が頑強に粘り、決め手を与えない終盤戦が続いた。下図は、今△6九飛と打ち、一歩でも入れば△9七歩。このままでも△6三飛成と飛車取りにしながら成香を外す手を見たところ。ここで指された先手中村九段の指した一手は?やはり終盤では常に攻防手を考えたい。 |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問629-1解答)「相手の攻め駒を最小にする」 ここでの実戦の進行は、▲8八玉△9九角▲9八玉△6六角成に▲7七金直だ。まず▲9八同玉と取るのは△7六角が純粋な王手飛車でこれはダメ。そこで▲8八玉だが、△9九角の王手銀取りが厳しい。どこへ逃げても銀を素抜かれる訳だが、素抜かれた後の局面を考えた時、さらなる駒を相手に与えてはならない。つまり、▲7九玉と落ちるのは安全になるが、△6六角成の後△9九歩成が残ってしまう。そこで実戦は▲9八玉と歩を取り、△6六角成に▲7七金直と進んだと言うわけ。さらに△7五馬に▲7六歩△8四馬▲9二香成と徹底して駒を渡さずに受けて、ここから長い終盤戦が続くことになった。 本譜はこの後も後手の攻め、先手の受けが延々と続いた。どう攻めるのか難しい局面も随所にあったが、三浦九段も細くなった攻めを巧みにつなぎ逆転を許さない。そして迎えたのが第2問だ。 |
(問629-2解答)「終盤の手筋、攻防の角」 この「受けの手筋」で何度も出題している攻防の角がここでもひと目の筋。▲6三の成香を守りながら、次に▲3三歩成△同銀▲2五桂が入れば一気に逆転も見えてくる。実際この角の味が良かったので、流れ的に逆転したのでは?というような感じもあったが、ここで三浦九段は踏みとどまった。 本譜は、△4三銀となけなしの銀を投入したのが手厚い一着。▲3六角にじっと△3四銀と歩を取ったのも落ち着いた一手で、これで後手玉が完全に見えなくなった。仕方なく▲8二飛成から上部を開拓しようとしたが、最後の一歩を△7六歩と急所に打ち、ギリギリの攻防戦を抜け出し後手三浦九段が勝利した。 |
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