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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年8月27日出題)

第663問(2018年8月26日 羽生竜王-高野四段戦)
(問663-1)
先手羽生竜王、後手高野四段で、戦型は角換わり腰掛け銀。先手が△4二玉△6二金△8一飛の陣形から△6五歩と突いて先攻した。対して先手は、▲6四歩の垂らしから先に銀損しても▲6三歩成と反撃し、難しい中盤戦から一気に終盤に突入。下図は△6五桂のかわしに一旦▲7三角成と飛車取りに成って攻めをけん制したところ。ここで後手はどうするか?単に飛車を逃げるのでは、大きな利かされの上、逃げ場所も難しい。ここで指された後手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問663-2)
難しい終盤戦が続いている。局後の感想戦では▲7七同金と金で取ったのが好手で、後手が大変というニュアンスで話をしていたが、ソフトの形勢判断はまだまだ互角。今△4六馬と飛車に当てて馬を引いたところ。ここで先手はどうするか?こちらも単に飛車を逃げるのでは”馬の引かれ損”の上、飛車が動くと△7九角もある(▲7八飛なら△6五桂や△6九銀)。ここで指された先手羽生竜王の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問663-1解答)「金を馬に当て飛角交換」
△7七桂成と一旦取る手はありそうだが、▲同桂でも飛車取りは残るし、▲6二馬と手抜きで取られる手も気にしなければならない。そこで△7二金と打ったのが実戦。△6一歩のような手では飛車を取ってくれないので、やはり終盤は大駒に当てて先手を取る必要がある。

これに▲7四馬でも一旦は詰めろだが、後続手が難しいと見て羽生竜王は▲6二馬と飛角交換に応じる。一歩でも先手にあれば簡単に先手の攻め合い勝ちになりそうだが、歩切れの為、以下▲5六歩と受けに回り難解な終盤戦が続くことになった。

(問663-2解答)「金を自陣に投入し、飛角交換」
ここは、▲7八金打と持ち駒の金を投入する一手。飛車を逃げて、△7九角を打たれるのは詰まないまでも論外。▲7八金と引くのは、持ち駒があることで(角が入ることで)後手玉に詰みが生じるなら考えられるが、薄過ぎてこの局面ではまずい。

本譜は△6八馬▲同金に再度の△4六角にもしっかり▲7八金打と投入。△5九飛の瞬間に、▲5一飛から攻めに出て一手争いの終盤戦が繰り広げられた。最後までどちらが勝っているか分からない難解な将棋だったが、「最後に悪手を指した方が負ける」と言われる通り、攻め駒を拾う手が決め手となり、先手羽生竜王の勝利となった。

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