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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年10月8日出題)

第669問(2018年10月7日 加藤桃子奨励会初段-森内九段戦)
(問669-1)
先手加藤初段、後手森内九段で、戦型は相居飛車。但し、相手の出方を見ながらの駒組みになり、後手は袖飛車、先手は早繰り銀と、あまり見たことのない手将棋となった。中盤、先手の角銀が中段に浮き、これを目標に動いた後手だったが、先手の切り返しであまり成果は得られなかった。下図、先手は桂損ながらも龍が手厚く、形勢も悪くはない。次の一手としては非常に難しいが、受けの手に限るということであればそれほど難しくはない。ここで指された先手加藤初段の次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問669-2)
先手が歩と龍を駆使して後手陣に襲いかかった。そして今、▲3四龍と急所に龍を進め後手としては難しい受けを強いられている。この局面は、飛車取りであると同時に▲5四龍も見られ、受けが難しい。ここで指された後手森内九段の指した一手は?簡単に寄せられない為の読みの入った受けとは?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問669-1解答)「玉に寄せる金」
攻めとしては▲7三歩や▲3四歩と叩いたり、▲5三金を打ち込んだりといろいろな手が見える。しかしいろいろな筋があるからこそ、後手も一手ですべてを受ける訳にはいかない。そこで、じっと▲5八金と陣形に手を入れたのが実戦。すぐに何かを受ける必要のない時に受ける手と言うのは終盤では緩手になりやすい。しかしそれでも何をやって良いか分からない時に、金や銀を玉に寄せておくのは悪手にならないことが多い。ここでは特に先手からの攻め筋が多い為、手を渡すことが好手になりやすい。

本譜は△5五角に、▲7三歩と叩き、△5二飛に▲5三歩も利かし、数手後には角成りも受けた。そして▲2一角と飛車取りから強襲をかけ第2問に続いている。

(問669-2解答)「読みの入った薄氷の凌ぎ」
飛車取りなので、△5三飛と歩を払いながら、▲5四龍を防ぎたいが、▲4四銀や▲4三金など分かりやすい攻めがある。そこで、実戦、森内九段は△4二銀と打った。これが読みの入ったしぶとい受け。▲5四龍には△5三飛を用意している。これに実戦は▲5二銀から一枚はがしたが寄せ切れなかった。感想戦では、▲3一銀や▲3二銀などの手が検討され、これならどういう結論になるか分からない熱戦が続いていたと思われる。

本譜は(5二で精算した後)▲3二金とへばり付いたが△4五角で息切れ。最後は先手玉が即詰みに討ち取られ、後手森内九段の勝利となった。

なお最後の即詰みの局面から持ち駒を少なくして(余詰めを消す為さらに修正して)作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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