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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年1月14日出題)

第682問(2019年1月13日 今泉四段-久保王将戦)
(問682-1)
先手今泉四段、後手久保王将で戦型は角道オープン四間飛車。先手がすぐに角を自陣に打って急戦調に指し進めたのに対し、向かい飛車に振り直した後手は、△3二金でしっかり受け止め、その後持久戦となる駒組みへ進んだ。下図は、序盤で双方が角を交換したとは思えないような形になっているが、今後手が3筋の歩を突き捨て△3六歩と歩を垂らしたところ。ここで先手はどう受けるか?利かされるのは辛いので、▲6五歩からの反撃もあるかと思われたが、今泉四段はこの地点をしっかり受けた。ここで指された先手の次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問682-2)
難しく互角の中盤から終盤へ突入したが、少しずつ後手がポイントを上げ優位に立っていった。下図はその終盤戦の真っ最中で今▲5四歩と突いたところ。△4四の金には角のヒモが付いているので、何かを受けなければいけないと言う訳ではない。特に一手で先手の飛車が取れるので、攻めてしまいそうだが、実戦はここで受けに回った。優勢の将棋を単なる有利にしない為の次の一手は何か?後手久保王将の指した次の手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問682-1解答)「足の速い大駒で受ける」
▲3八飛と飛車で受けようとすると△2五飛と走られてしまう。△4八銀なら大丈夫だが、やはり大きな利かされではある。実戦は▲5九角。これも利かされてはいるが、銀に比べると足が速い。つまり、ここから動いて使えようにするのに、たとえば一手で▲1五角とか▲7七角、▲8六角などと使えるようになるということ。そういう意味で、角を使って受けた方が、軽く受けられ撤退も早いということだ。

本譜はしかし△3五角と角をさばき後手好調。さらに問題にしようかと思った、後手からの筋悪な大駒を押さえる△3七桂と言った手も出て、後手が徐々に有利を拡大していった。そして優勢になって迎えたのが第2問である。

(問682-2解答)「戦いの途中でも金銀を自陣に寄せる」
問題の一手で受けということであると△5四金の一手しかないのでやさし過ぎるかもしれない。ただ、可能なら駒組み段階の最初にいた△3二金と△4二銀の動きを見て欲しいと思う。結果としてこの図では△5四金と△7四銀に、さらに局面が進むと最終的には△6四金と△8三銀と言う位置にまで進んでいる。このように戦いの最中でも金銀を寄せて自陣を強化する手は、振り飛車党の理想の戦い方でもある。

本譜は、先手も徹底抗戦で受けに受けたが、後手もその差を詰められないよう丁寧に厚く攻め、最後は大差、後手久保王将の勝利となった。
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