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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年1月21日出題)

第683問(2019年1月20日 行方八段-豊島王位・棋聖戦)
(問683-1)
先手行方八段、後手豊島二冠で戦型は横歩取り△3三角戦法青野流。研究手順のところまでは早い進行だったが、先手が見落としていたという40手目△8四飛で後手が有利に立てそうだった。しかし、決め手かと思って指した踏み込みが全然決まっていなくて(感想戦で)、局面は混沌。優劣不明の終盤戦へ突入した。下図は今△8九飛と敵陣に飛車を打ち込んだところ。次に△6九銀を打たれてはすぐに終わってしまう。そこでここではどう受けるのが良いか?先手行方八段の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問683-2)
終盤の折衝で後手が有利に進めたようだ。しかし今▲2六香と銀取りにしながら、後手からの△2四桂〜△3六歩を防いだところ。もちろんこのまま▲2三香成と銀を取られては、あっという間に後手陣が崩壊する。ここで後手豊島二冠の指した次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問683-1解答)「自陣飛車で受ける形」
図のような金・玉に一段目に打つ△飛車の形は良く出てくる。この場合、7筋に歩が打ててかつ△7七歩と叩かれたり△8六桂のような手がないなら、▲7九歩と打つのが金底の歩で固い。しかしここでは▲7九飛はあっても歩は打てない。また、香には角のヒモが付いているので、▲6八金のような平凡な手もあるかと思われたが、それには△6四銀から△6五歩があり、後手の攻めが続く。と言うわけで、▲5九飛と自陣飛車で受けるのが形。局面によっては△8一飛成など自陣に龍を引き上げられて、龍と飛車の差を強調されてしまうこともあるので注意しなければいけないが、受けの一つの手筋として知っておきたい。

本譜は、(感想戦によると)やれると見ていた先手だったが、千日手の筋を回避して▲4五歩と攻め合いを目指したがあまり良くなかったようだ。後手がリードし第2問に続いている。

(問683-2解答)「反撃する受け方」
ここで豊島二冠は△2四桂。この一手前の▲2六香は、△2四桂を受ける意味合いで打っているだけに、それでも△2四桂と打つのはかなり打ちづらい。問題図では、△2四歩と歩で受けるのが最も自然だが、大きな利かされになる。実はこの局面、激指に手を聞いてみたところ、△2四桂と打って後手優勢、△2四歩では単なる有利に過ぎなく差を詰められる、と言うことでこの桂が正しい反撃。

本譜は、▲2四同香△同銀に▲4四歩と急所を攻めたが、後手も手抜きで△3五香と反撃、一手争いの終盤戦は後手が抜け出し、最後は先手玉必死、後手玉詰まずとなり、後手豊島二冠の勝利となった。

なお、この将棋の投了図より、後手玉が詰むように持ち駒を変えていたら、長手数の詰みになった為その後半を載せた「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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