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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年9月2日出題)

第713問(2019年9月2日 佐藤康光九段-安用寺六段戦)
(問713-1)
先手佐藤九段、後手安用寺六段で戦型は後手の角交換四間飛車。先手は銀冠に組み、後手は向かい飛車に振り直し駒組みは進められた。その先手は右銀を▲5七〜▲6六と活用し、さらに▲7五歩から▲6五銀と美濃のコビンに向かっていった。この動きに後手も反撃し、馬を作る。そして下図、先手も▲3一角から今▲7五角成と馬を作ったところ。漠然としていて難しいがここで後手はどのような手を指したか?攻めるなら△3六歩や△4五桂などの手は見えるが、ここで指されたのは受けの一着。後手の指した次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問713-2)
上図から数手後、先手の▲7四歩に後手は一旦△6二金直と上がって上部を厚くした。ここで先手はどうしたか?攻める前に一手指したい手があると言えばこれしかない。先手の指した次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問713-1解答)「攻め駒を守りの駒に」
玉頭が寒いので、△7三歩と打っておく手は手堅いが、▲5四銀と今度はこちらから攻められてしまう。そこで、△5五銀と一つ引いたのが「なるほど」と思わせる一着。つい(5筋と7筋両方を同時には受けられないので)△3六歩や△4五桂など攻めたくなるが、攻め合いは玉が近いだけに振り飛車も大変。と言うことで、じっと△5五銀が渋い。▲5四銀に△6四銀を用意し、また局面によっては攻めにも使える。駒の活用方法として見習いたい一着だ。

本譜は▲7四歩と拠点を作り、△6二金直としたのが第2問の局面になっている。

(問713-2解答)「馬の当たりを避け、自陣を引き締める」
ここは▲6八金右と寄るのが味良い一着。▲5八金は△1四の馬の利きにあるので、飛車が動くとすぐに取られてしまう。こうした駒は出来れば利きを外しておきたい。さらに金二枚並んだ形は強固なので、陣形も引き締まる。という訳で、中盤でも一手かけて寄っておく手はたいへん価値のある手と言える。

本譜はそれでもまだ難しかったが、(感想戦によると)△7三歩からキズを消しつつ動いたのが良くなかったようで、攻め筋を5〜4筋に変えたのが機敏で先手有利に。最後は「両取り逃げるべからず」の格言通りにに攻め、先手佐藤九段の勝利となった。

なお、最終盤の局面から詰むように修正したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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