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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年12月16日出題)

第728問(2019年12月15日 斎藤慎太郎七段-豊島名人戦)
(問728-1)
先手斎藤七段、後手豊島名人で戦型は相矢倉。双方昔ながらのガップリ組み合う矢倉にし、角が向かい合う脇システムへと進んだ。戦いは先手が角を変え棒銀に出た所からで、後手は歩を突き捨て馬を作った。その後、再び角の交換が行われ、先手の攻め、後手の受けという展開に。下図は▲1二歩成と垂らしていた歩を成り捨て、今▲1五歩と香を取ったところ。ここで後手はどうしたか?感想戦で少しまずいかもという感じで話していたこの場面、より局面を紛れさせるための後手の受けとは何か?実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問728-2)
先手優勢のまま終盤へ入ったが、後手も飛車を切り勝負に出た。下図は今△8七歩と玉頭を叩き、▲同玉に△8五歩と継ぎ歩をしたところ。ここで先手の指した次の一手は何か?ここではどのように考えたら良いか、盤面全体を見て指し手を決めることになる。実戦で指された次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問728-1解答)「陣形を直して手を渡す」
飛車を持っていれば、普通は敵陣に飛車を下ろし、早めに反撃の味を作っておきたい。しかし実戦は、△1五同香と歩を払い、▲同銀に△2二玉という風に進めた。攻め合って一手勝ちを目指せるなら明快だが、飛車を下ろし、仮に▲2六の銀を取っても▲7一角という手がある。そのため、▲1四歩と香を取りながら玉頭に進んでくる歩が見た目以上に脅威。ということで、本譜の順は少しでも攻めを緩和しようとした受けの勝負手でもある。ただ実際の形勢は、なかなか後手に好転はしなかったようだ。

本譜はやはり▲7一角の筋が厳しかった。尋常な手では勝てないとみた後手が飛車を切り、先手の玉頭に猛攻したのが第2問である。

(問728-2解答)「手抜くタイミング」
▲8五同歩と取るのは最悪で△8六歩と叩かれ一手の意味もなく後手に手を渡してしまう。受けるとすると△8六歩と取られた時、取り返せるように▲6八金寄や▲7九歩などと▲7八の金を受けることになる。しかし、▲1六の香を補充する手が残っているので、ここで受けると混戦になりそうだ。
そこでここでは▲2三歩が攻めの手筋。先手玉は△8六歩に▲7七玉でいきなり詰む訳ではないので、この瞬間に手抜いて後手玉の寄せに出たい。

本譜は、△2三同金に▲2四銀と出る手が強烈。どちらで取っても▲1二飛から後手玉が寄る。そこで△1六飛成から玉そばの銀を見捨てて△6二歩と角道をさえぎる粘りを見せたが、豊富に持ち駒を蓄えた先手が、後手玉をしっかり寄せきり、先手斎藤七段の勝利となった。
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