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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年1月6日出題)

第731問(2020年1月5日 永瀬二冠-千田七段戦)
(問731-1)
先手永瀬二冠、後手千田七段で戦型は相掛かり戦。後手のタテ歩取り風の飛車に▲7七金から▲8七金と形にこだわらず動いて先手は駒組みを続けた。そして▲3七桂に今度は後手が強く△3六歩と突くと一気に終盤戦へ。下図は▲8三角から▲7四角成と馬を作ったところ。△4五歩と桂を取れば桂得だが、▲8三歩成でと金を作られる。そこでどうすれば良いか?ここで指された後手の次の一手は何か?実戦の進行を3手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問731-2)
お互い緻密な攻めと受けの攻防が繰り広げられたが、後手の攻めを確実に受け止めると少しずつ先手の模様が良くなっていった。そして下図、今▲3三歩成に△同玉と力強く玉で取ったところだが、ここで決め手とも言える攻防の一着があった。ここで指された先手の次の一手は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問731-1解答)「歩成りを受ける形」
桂の価値が大きく、と金が遠ければ桂を取ってしまうのも一つの手ではあるが、ここではと金を作られてはまずい。そこで受けるとすれば△7二金がすぐ目に付く。実戦は△7二飛と回り▲5六馬に△8二歩だが、△7二金以外にも局面によってはこのような受け方があるということ。そして両方の受けが分かるのであれば、どちらが良いかを比較検討することになる。

本譜はこの後も△4三玉といういわゆる顔面受けから後手は薄氷の受けを続けたが、先手が少しずつポイントを上げ、第2問に続いている。

(問731-2解答)「盤面を広く見て攻めを組み立てる」
ここで▲4八金と角取りに上がったのがなるほどの一着。つまりこの角がこの位置からいなくなると▲3六飛が激痛ということ。こうした手は相手の持ち駒はもちろん、盤面を常に広く見ていないと気づかない。じっと▲1二角成と成っておいてもまだ有利ではあるだろうが、こうした手に気づけば寄せの力が格段に上がることになる。

本譜は、△3一金▲1二角成の交換を入れて△2九角成と成ったが、それでも▲3六飛は厳しかった。△4二玉に▲3四桂と打って後手玉の寄せに入ると駒得しながら着実に差を広げ先手永瀬二冠の勝利となった。
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