将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2020年1月13日出題)

第732問(2020年1月12日 木村王位-渡辺三冠戦)
(問732-1)
先手木村王位、後手渡辺三冠で戦型は相掛かり戦。中盤、先手が銀を素早く繰り出し一歩得を果たすと後手はじっくり陣形を整備、そして歩の合わせからその銀に向かっていった。途中、飛車を寄った手に△2七角の打ち込みはどちらが読み勝っているかという局面。下図は、その角を△4九角成と成り込んだところ。攻めるなら▲4三銀成△同金左▲3二飛成だが、5八の金が当たっているだけにこれで良しとも言えない。そこで先手の木村王位は受けの手を指した。ここで指された次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問732-2)
第1問の直後、後手に疑問手があったようで先手が有利に立った。下図は急所の馬を殺し、駒割りは角桂と金の交換。今、▲3二歩成とと金を作ったところで、後手からの早い攻めはなく、▲4二とと寄れれば必勝。そこでどうするか?当然ここで後手は受けの手を指し、その手を見て先手も受けの一着を指した。ここからの実戦の指し手を2手まで問う。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問732-1解答)「例外的な玉の受け」
金取りに対し、部分図だけを見れば▲6八金右と寄るのが普通。ところがこの金を寄せてしまうと、△4八馬から攻めの要の飛車を狙われて、攻めが頓挫してしまう。そこで、▲6八玉と玉を戻して金を受けたのが実戦。この手は(△3六歩の反撃がなくなると)▲5九金と馬を殺す狙いも持っている受けの強手だ。ただ多くの場合、戦場に近づくので、良い手にならずあくまで場合の手ということも覚えておきたい。

本譜はこの後の数手で急に先手が良くなった。桂得から馬を殺しと金まで作って先手優勢のまま第2問となっている。

(問732-2解答)「すぐに負けない為の玉周辺の再整備」
先手に▲4二とと寄られてはダメなので、後手は△5二金。これに対し、先手も▲6八玉と上がったのが実戦。終盤、悪くなっても決め手を与えないでいるうちに差が詰まるということは良くある。このような△5二金や玉を安定させる▲6八玉は覚えておきたい呼吸とも言える。

本譜は、△2八銀から△2七歩成と遠くから飛車を攻めるしかなかった。しかしさすがに攻め足が遅く、先手の飛車を取って攻めた時には、後手玉の受けもなくなり、最後は一手差にまで詰め寄られたが、きっちり寄せ切り先手木村王位の勝利となった。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ