第763問(2020年8月23日 屋敷九段-山本博志四段戦) |
(問763-1) 先手屋敷九段、後手山本四段で戦型は後手の三間飛車。これに▲7九金のエルモ囲いを目指すと後手も△3一飛と工夫の駒組み。さらにこれを見て▲5五歩と仕掛け戦いが始まった。ただ全面的な戦いになるのではなく、局面は収まり第二次駒組みに。そして先手の手に乗り後手が角交換から馬を作ると先手は歩得を主張した。下図は△5四馬と△6三にいた馬を出て△4四金と△7六馬を見せた手に対し、じっと▲2三歩と歩を垂らしたところ。ここで後手はどうしたら良いか?後手の指した次の一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問763-2) この将棋は長手数の大熱戦になった。上図から端を攻めた先手がポイントを上げリード、さらに有利から優勢へと進めていった。しかし、後手も受けの勝負手を繰り出し簡単には終わらせない。下図はその終盤、まだ130手目でここから延々続くが、今△3五角と王手をかけたところ。もちろん▲5三のと金を角で払い粘ろうとしている。ここで先手はどのように受けたら良いか?先手の指した次の一手は何か? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問763-1解答)「歩成りを許さない辛抱の馬」 歩成り自体はかなり遠いので、手抜いて攻めを考えたいが、△4四金も△7六馬もそれだけでは二の矢がない。そこでじっと△3二馬と引いて辛抱したのが実戦。指されてみれば当然の一手で、先手も角を使うところがなければ手を作るのは大変そうだ。 それでも本譜は、▲5五銀から▲3七桂〜▲4五桂と活用し攻勢を取った。そして端攻めを敢行し、さらに先手のリードは続いた。しかし後手もこの「受けの問題」に出せそうな受けの好手を連発し、簡単には土俵を割らない。その終盤の途中、△3五角と攻防の角を放ったのが第2問である。 |
(問763-2解答)「正確な読みで駒損しない合駒を」 ここで▲4六香と香を合駒したのが実戦。これは先を見据えて▲4二龍にヒモを付けている。つまり、△5三角は見えているものの▲5三同龍と龍で取り返したり龍を逃げるつもりであれば▲4六は歩で良いことになる。しかし、△6七角成と王手で先に切る手もあり局面は複雑で、実戦△5三角▲5六銀△4二角▲同香成は最善の応酬なのかもしれない。このような駒のやり取りでは大きく形勢を損ねることがあるのでしっかり読みを入れる必要がある。 本譜はこの後もすごかった。まだここは130手だが、終局は211手まで続く。そして先手優勢の局面は長かったが、頑強に粘ると先手も攻めを間違えたか、攻守が逆転し、先手玉が詰むや詰まざるやの状態に。実際は詰んでいたので、形勢もはっきり後手勝ちになったのだが、それを逃すと最後は逆に後手玉が詰まされ、先手屋敷九段の勝利となった。 |
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