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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年3月29日出題)

第793問(2021年3月28日 西山女流三冠-里見女流四冠戦)
(問793-1)
今回は、来期のNHK杯に出る為の女流枠の一戦。先手西山女流三冠、後手里見女流四冠で戦型は相振り飛車。▲5六歩〜▲5八飛の出だしに一旦は向かい飛車にした後手だったが、先手が早く5筋を切った為、中央へ振り戻し、相中飛車の戦型となった。その後、双方美濃に入った後、後手は3筋から、先手は端をからめ6筋で銀をぶつけて攻め合いとなる。下図は△2五桂の銀取りに▲3八金と上がって守ったところ。銀桂交換にはなってもすぐに厳しい攻めがある訳ではなく、先手からの▲9四飛も厳しい。そこでここで指された後手の次の一手は何か?端攻めを緩和する後手の応手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問793-2)
上図から、軽い受けに先手の猛攻は始まったが、うまく凌がれ先手苦戦。下図は後手優勢。今△4九銀と良くある割り打ちを打たれたところ。このような割り打ちには▲4八金左のように遠い金を玉に寄せるのが基本ではあるがこの局面はどうか?ここで指された先手の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問793-1解答)「端攻めの軽い受け方」
△9三香と歩を取り▲8五桂と攻められても△8四銀で受けることは出来そうだ。そしてその方がしっかりしているが、反面銀を使わなければならない。この実戦の△8四歩も手筋で、持ち駒の銀を使わずに受けようとするとこうした手になる。▲9四飛と出られても△8三銀で耐えているならこの方が銀を使わずに済むことになるが・・・。

本譜は節約して受けられる手を許さず、▲5三歩から▲9二銀と飛車取りに構わず猛攻することになった。しかし攻防に飛車を下ろすと次第に後手が有利になり、第2問はその後手の反撃に今度は先手が辛抱することになっている最中である。

(問793-2解答)「玉の固さを維持したままチャンスを待つ」
▲4八金左と寄るのは形的には自然だが、ここでは金を取られ▲3七の銀も取られると寄ってしまいそうだ。そこで▲4七銀と一枚入れたのが実戦。銀取りの先手にはなっていないが、先手は▲9二歩成を間に合わせないといけないので、とにかく玉を薄くしてはいけないということ。

本譜はこの後も頑強に受けた。△5六歩に▲3九香、△9八飛成に▲4八金右と寄って耐え、反撃の機会を待った。そして▲9二歩成から▲4五銀と飛車をいじめると、終盤▲3八桂と角取りに自陣を埋めたのが実戦的な勝負手。おそらくはこれに間違えたか形勢は急接近し、逆転。最後は後手からの王手ラッシュを正確に逃げ切り、先手西山女流三冠が勝利、次期NHK杯戦への出場を決めた。
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