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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年4月5日出題)

第794問(2021年4月4日 日浦八段-池永四段戦)
(問794-1)
本局は第71回、新年度最初の一局で今期からAIによる形勢判断が表示されるようになった。先手日浦八段、後手池永四段で戦型は後手急戦矢倉。先手がガッチリ矢倉を組み上げたのに対し、後手は二枚の銀を繰り出し細かく動いた。人間的には互角に見える局面でもAIの評価は動いた割りに効果がないという判断で先手良し。その形勢のまま先手がうまく仕掛け優勢に。下図はその終盤。今▲2一飛成と桂を取ったところ。駒割りも互角でいわゆる後手だけ終盤という形だが、持ち駒は豊富なのでここを凌げばまだ楽しみはある。ただ何をどう受けるのか難しい。ここで指された後手の次の一手は?実戦の進行でもある三手一組の手順は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問794-2)
上図から、後手も粘り形勢は混沌・・・したかのように見えたがAIの判断はずっと先手優勢のまま。ただ少しでも間違えるとたちどころに逆転する際どい局面は続いた。そして下図、△9五桂と設置した後、今△8七歩と王手で歩を叩いたところ。後手玉はいきなりは詰まないので、詰めろをかけ続けられると逆転される。なので、先手からすれば詰めろの来ないよう受ける必要がある。王手なので応手は四つ。但し先手が勝つには一つしかない。ここで指された先手の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問794-1解答)「入玉模様での粘り方」
ここで△2二銀と受けたのが次に△3一金を見て相手にプレッシャーをかける一着。そして▲8一龍に△3三玉と上がって簡単には負けない形を作った。手の流れを見ると攻め間違えて形勢が急接近しているように感じるが、AIはこれでも先手優勢。ただ、具体的にどう攻めるのか難しい局面になっている。

本譜はさらに先手の飛車をいじめて馬を作り、先手玉にも手の届く局面になった。そしてまさに一手でも間違えるとそのまま終局してしまう局面が第2問である。

(問794-2解答)「相手玉と自玉の詰み、詰めろを正確に読む」
ここは詰めろから必死をかけられてはダメなので、そうならないように正確に読むしかない。応手は四つ。まず▲9八玉と寄るのは△8八飛から即詰みで負け。▲7七玉と上がるのと▲7九玉と引くのは、△8八銀から簡単に詰めろがかかりこれもほぼ負け。と言うことで、残るのは▲同金と取るしかない。

本譜は、この後も双方に際どい詰めろの攻防は続いたが、最後は正確に後手玉を詰め、先手日浦八段が開幕戦を制した。
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