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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年7月12日出題)

第808問(2021年7月11日 都成七段-深浦九段戦)
(問808-1)
先手都成七段、後手深浦九段で戦型は先手のゴキゲン中飛車対超速。6筋で銀の向かい合う形から、後手が△7二飛と7筋から動いた。これに先手も5筋の歩を切り、さらに銀を▲8三に打ち飛角交換を強要。反撃がうまく行った形でAIの形勢判断も60%くらいで先手やや良し。下図はその直後。今△5三銀左と△4四にいた銀を引いて角道を通したところ。△6六角と飛び出るのが狙いだがそれ自体を防ぐ手はない。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問808-2)
上図から数手後、先手に受けの誤算もあり後手の強襲が成功、逆転した。しかしその後、先手の飛車も今▲5三飛成と成り込み、優勢の後手としてはちょっとでも間違えると再逆転する怖い局面でもある。ここで後手の指した次の一手は何か?ここからの実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問808-1解答)「遠くの金を守りにつける」
ここで▲5八金左と▲6九の金を上がったのが実戦。見ている時に、「渋い!」と思ったのは、飛車先を止めるだけに上がりづらい金だから。飛車がいなければ当然の一着だが、指されて見れば飛車がいても手厚い一着。△6六角に▲7四銀成と遊んでいる銀を使い、先手のやや指し易そうなまま終盤戦に入って行った。

本譜は、しかし△6五桂に強く▲6七金と上がった手が疑問(と言うより、この後挽回できなかったので「敗着」)となった。角を追えれば完封だが、その瞬間に△4八角打と強襲。これが厳しく形勢も逆転し終盤戦に突入。そしてあとは後手がどのように勝つかという局面が第2問である。

(問808-2解答)「二枚換えで飛車を入手する」
△4二金打と一枚入れるのは固いが、銀だけになり今度は切れないか心配することになる。実戦△7二歩▲同飛成に△6二金打が珍しい二枚換えでの飛車の入手。▲6二同龍△同金▲同龍の後、△5二歩で先手を取れる訳ではないので、なおさらこうした二枚換えが成立するのは珍しい。ただ局後深浦九段が言っていたように、飛車を手に入れるのが、一番早くそして受けづらいと判断したようだ。

本譜はその判断が正しく、攻め合いも受けもどうしても一手先手が足りない。大量の持ち駒があっても桂が一枚しかないと最後の金と馬が良く利いていて、結局先手玉必死に後手玉は詰まず、後手深浦九段の勝利となった。
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