第831問(2021年12月19日 出口五段-近藤誠也七段戦) |
(問831-1) 先手出口五段、後手近藤七段で戦型は相居飛車。角換わりの出だしから後手が角道を止め雁木を選んだ。その後、▲4五歩から軽く動くと、形勢は互角ながらもやや後手の苦労する展開に。そして先手が積極的に仕掛けた局面が下図。▲4六飛と一歩を取りながら走った手に一本△8六歩と突き捨て▲同銀と進んだところ。8筋は利かしとして、4筋はこのまま▲4五銀と出られると受けきれなくなる。歩がないので難しそうだが、駒を効率よく使う一着がある。ここで指された後手の次の一手は何か? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問831-2) 上図から激しく戦いに入っても、形勢はそれほど離れていかない(やや先手有利)。そして下図、今△3四銀と飛車先を通しながら上がったところで端攻めにも対応しており味の良い一着。このまま単純に△4九飛成と成り込まれてはいけないので何か受けるしかないが、ここではどう受ければ良いか。ここで指された先手の次の一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問831-1解答)「三拍子の味良い受け方(数を足す+かわす+近づける)」 ここでは△4二銀が非常に味の良い受け。▲4三の地点から打ち込まれる手が見えているので、まずここに数を足している。それに加え、▲7一角からの当たりからもかわしている。さらには金銀は玉の方へ寄せるのが守りの基本。おまけにこの手は、次に△7二飛の反撃も見ているので、これ以上ない味の良い一着と言える。 ただ本譜はそれでも互角の勝負。▲4五銀とぶつけ△同銀▲同飛に△7二飛と回って難解な終盤戦へと入っていった。そしてその攻防が続いているのが第2問である。 |
(問831-2解答)「飛車成りを先手で防ぐ」 ここで▲4八香と打ったのが実戦。この局面、▲4七や▲4八へ歩を打っても飛車成り自体は受けられる。しかし、それでは先手にならずまた後手の手番で有効な手を指されるかもしれない。終盤では寄せの格言でも、「駒の損得より速度」という言葉があるように、先手を取ることの重要性は高い。ここでも先手を取って、端攻めに回りたいところ。ただ後手に歩が一歩しかないことも条件で、△4七歩から△4六歩とすぐに香を取られてしまってはいけない。 本譜は、△4六歩と打つしかなく、先手は▲1五歩と端から攻めた。その局面はまだ難解だったが、後手が一直線に攻め合いに出た手がまずく(感想戦で)、先手が巧みに寄せることに成功、先手出口五段の勝利となった。 |
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