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NHK杯に見る受けの手筋

(2022年1月24日出題)

第834問(2022年1月22日 佐々木大地五段-佐藤康光九段戦)
(問834-1)※この将棋は16日放送の予定でしたが、津波速報で延期され22日から23日にかけての深夜に放送されたものです。
先手佐々木五段、後手佐藤九段で戦型は相掛かり戦。先手の陣形が整わないうちに後手が飛車を△2四へ回り積極的に動いた。そして局面をリードし、中盤から終盤戦へ。下図は、ハデな大技の直後。△9二香と馬を取り返したところで、後手の主張は先手陣をまとめ切れないだろうと言うことで、ここでは後手有利。実際、普通は▲6八玉と早逃げする形だが、△5六桂がありそれができない。しかし実戦は、この局面で冷静な一着を指し後手からの攻めを一旦は凌いだ。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問834-2)
終盤戦へ入っても後手優勢は変わらない。しかし先手もしぶとく粘り、決め手を与えない終盤戦が続いている。今、▲5六角と銀香取りに角を打ったところ。この両取りの局面で後手は、驚きの対応策を披露。ここで指された後手の次の一手は何か?ここからの実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問834-1解答)「決め手を与えずに辛抱」
早逃げが出来ない為に、先手陣の収拾がつかないように感じたが、ここからの数手の受け方はまさにプロの技だった。まずは手としては平凡な▲4六歩。△4五桂が厳しすぎると言うことでこの受けだが、受けただけの手なので実戦的には指しづらい。しかしその後の▲8八飛から69手目の▲5八歩まで進むと、評価が出ていなければ凌ぎきったのでは、と思えるような局面にまで持っていった。

本譜はしかしそれでも(評価値は)後手優勢。第2問の局面は先手陣も安定し、詰まった印象はあるがここで後手に好手順が出た。

(問834-2解答)「取られた先まで読む受け」
△3四銀を取られながら、6一の急所を睨まれてはたまらない、と考えると普通は△4三銀とか引いて△3四の銀を助ける。ところが、ここで佐藤九段は両取りを受けずに△4六馬。そして▲3四角と銀を取らせて△4三銀。普通は、取られてから受けるのではまずいとしたものだが、ここではこれが好手順だった。部分的には▲4三同角成△同金▲同飛成でこの二枚換えは先手良し。但し終盤は駒の損得より速度ということもあり、これでは△6七桂成と来られ、後手勝勢。と言うことで、取らせた後の△4三銀の変化まで読みこれで良しとの判断。評価値は90%を超え、後手勝勢となった。

本譜は、角取りに構わず▲6五桂と跳ねたのが勝負手。△3四銀▲5三桂不成で一手違いとなった。しかも最後は、後手玉が詰むや詰まざるやの際どい局面にまで進んだが、これを正確に逃げ切り後手佐藤九段の勝利となった。
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