第521問(2015年10月18日 畠山鎮七段-広瀬八段戦) |
(問521-1) 先手畠山鎮七段、後手広瀬八段で戦型は相矢倉。先手の雀刺しを緩和するため早めに上がった△2四銀に対し、すぐに▲2五歩と仕掛けて戦いが始まった。その後は、一歩入れば銀が死ぬという状況が続き、その一歩を巡る攻防の駒組みとなった。その結果、銀を助けることに成功した後手が逆に香得を確定すると、先手が暴れざるを得ない状況となりやや後手有利のまま終盤戦へ突入。下図は、今▲4四で飛車と金銀二枚の交換が行われた所。ただその前に(先手は)香損をしている為、現時点では飛金交換。この局面は王手なので、後手は当然受けるしかない。ここではどのように受けたら良いのか?後手広瀬八段の指した一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問521-2) 最終盤、先手は苦心の手順で後手玉に迫った。しかし、それでも僅かに届かず、△6六桂の詰めろをかけられたところ。この局面は、後手玉は詰まず、先手玉は受けても一手一手なので万策尽きたように見えるが、ここから先手の畠山七段は、最後の勝負手を繰り出した。少しでも間違えると逆転するような受けの勝負手、その三手の手順とは? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問521-1解答)「終盤は先手で受ける」 王手を防ぐだけであれば、玉をかわしたり、△3三香と香を合駒する手もあるが、ここは△3三銀と銀を打って角取りの先手を取るのが普通であり正しい受け。終盤では常に先手を取るように受けるのが基本で、角取りにしないと当然先手は角を動かすことなく別の手段で後手玉に迫ってくる。但し先手とは言っても△3三金のような「薄い」受けは、切られて▲4五桂のような手があり寄せられてしまう。(相手を攻める時に)駒不足になる心配がないなら、受けに駒を投じしっかり受けるようにしたい。 本譜はここから▲7一角成と飛車取りに成り込んだが、△4二飛と回られ、後手から二枚飛車で攻められることになり、先手の苦しい状況は続いた。 |
(問521-2解答)「楽をさせない受けの勝負手」 ▲7九金打など駒を一枚投入して受けても、ほとんど受けになっておらず、逆に相手を楽に勝たせてしまう。問題図から▲6七金と龍に当てながらかわした手が受けの勝負手。△8九龍などの他、詰みそうな筋はいろいろ見えるが、これらの筋は際どく残しているようで、実戦は平凡な△5八龍上の王手。そしてこれに対し、さらに▲9七玉の勝負手。この三手はさすがの順だった。この後、後手が詰めろをかけてこなければ▲4一馬から詰めろが続くし、相手の手に応じて角を取ったり、▲8五馬と上部を開拓したりする手が間に合えば逆転の余地が生ずる。 ただ実戦は、正着の△9五歩を指され、▲8五銀に△7五金と押さえられ逆転することは出来なかった。しかし、相手のミス待ちということではなく、寄せの正解が一つしかないような難しい手を残して置くのも勝負には大切なことで、こうした勝負手を指せるかどうかが(特にアマチュアでは)結果に直結することが多い。 なお終局図は先手玉に詰みがあったのだが(感想戦で指摘)、結果は一手必死をかけて後手の勝ちとなった。その詰みを余詰めを消して、「今日の実戦の詰み」として作成、さらに後手玉もほんの少し形が違えば詰むという状況だったので、そちらも修正を加え作成。二題の問題も解いて見て下さい。 |
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